熟練したセラピストの方の話を聞きたい。
どのようなセラピストを目指していけば良いのかを知りたい。
心理療法の未来を感じたい。
このような思いを持たれている方にご紹介する本はコチラ!
神田橋條治・成瀬悟策・村山正治・増井武士・かしまえりこ・藤原勝紀『どこへ行こうか、心理療法』創元社
この執筆者の一覧を見て、
どなたの名前も存じませんという方は非常にもったいない。
大ベテランが勢揃いであります。
そして、この方々が対談されている内容が収録されています。
昔、大学院生の頃、大学院の先生から、
学会大会に行くのであれば、まずは大ベテランの先生のお話を聴きに行きなさい、
と言われたことを思い出しました。
本書はまさにそれが体感できる内容になっていると思います。
逐語録ですので、
先生方の話し方や表現の仕方などが伝わってくるようです。
増井先生の作られたレジュメをゴミ箱にポンと捨てた神田橋先生のエピソードは、
今まで私が学んできたことが覆される印象があるのと同時に、
それが真の心理臨床ではないか、という思いが湧きました。
その一方で、次の村山先生と神田橋先生の対談の中で、
カール・ロジャースは講演の際、必ず原稿を用意しているという話がありました。
どの形が正解というのはないと思いますが、
日本人は海外の方々のやり方を踏襲するという印象が強いので、
日本人に合わせた日本人独自のやり方もこれからは大事にしても良いのではないかと思います。
最後の成瀬先生と神田橋先生の対談の中では、
動作法について語られております。
私自身、動作法については成瀬先生のご著書を読ませていただいた程度で、
全くの素人なのですが、
最近、動作法の重要性や必要性を実感してきております。
公認心理師には必須の知識・技術になるのではないでしょうか。
心理職は指導教員やスーパーヴァイザーの世界観から強く影響を受けると思うのですが、
本書はそのような世界観をさらに広げてくれるように思います。