感情に関する論文を読みたい。
感情に関する研究の最近の動向を知りたい。
できるだけ多くの研究者や臨床家の書かれた資料を読みたい。

このような思いを持たれている方にご紹介する本はコチラ!

岩壁茂(編)『精神療法 Vol.49 No.2』金剛出版

今回のテーマは「感情の力 コントロールと言語化を超えて」です。
感情の力について、
精神療法、感情心理学、修正感情体験、セルフ・コンパッション、
AEDP、感情症への診断を越えた治療のための統一プロトコル(UP)、
エモーション・フォーカスト・セラピー、スキーマ療法、
カップルセラピー、フォーカシング、アレキシサイミア、発達障害、
などの様々な観点から書かれています。

岩壁茂先生が、
「人が精神療法や心理援助を求めるのは、
 感情的に「調子が悪い」からであろう。
 また感情的に良い状態になったときに心理的健康を享受できる。
 それはさまざまな感情を実感し、
 生きるためのエネルギーに変えて、
 そして自分の中の揺るぎない羅針盤として行動できるときである。」(p.157)
と書かれていて、感情の重要性を再確認しました。

久しぶりに岡野憲一郎先生が書かれたものを読みました。
岡野先生の書籍は好きで、
大学院生の頃からよく読んでいましたが、
今回も感情と精神分析の関係をとても分かりやすく書いてくださっています。

私だけかもしれませんが、
最近は修正感情体験、メンタライゼーションという言葉を、
よく聞いたり、よく見たりするようになった印象があります。

本書にはテーマとは違いますが、
「精神科診療の見立てと精神療法を、改めて考えてみよう(1)精神障害は脳の生活習慣病である」
という新連載が原田誠一先生、神田橋條治先生を中心に始まりました。
これが個人的にとてもおもしろかったです。
グリージンガーの功績や若かりし頃の神田橋先生のエピソードに驚きました。
有名な方々は辛い時期を乗り越えたからこそ今があるのだなぁと思い、
励みになりました。