中井久夫先生について知りたい。
中井久夫先生に対する諸先生方の思いを知りたい。
心理学の雑誌が読みたい。

このような思いを持たれている方にご紹介する本はコチラ!

黒木俊秀(編)『臨床心理学 第23巻 第2号』金剛出版

今回のテーマは「中井久夫と臨床心理学」となっています。
1人の方についてテーマが組まれているということで、
中井先生の存在の大きさを感じます。

お名前はよく知っておりましたが、
恥ずかしながら私は中井先生の著作をほとんど読んだことがありません。
中井先生といえば統合失調症、風景構成法というイメージでした。

本書に掲載されている中井先生、村瀬嘉代子先生、滝川一廣先生の座談会の内容を読んで、
中井先生のお人柄に触れることができました。
今更ながら中井先生の著作を読んでみたいという気持ちになりました。

黒木俊秀先生が書かれた文章の中に、
「(中井)先生は(海外の)執筆者の意図を正確に読み取り、
 彼らが表現し得なかったところをさらに日本語で書き添えられた。
 これには驚いた。
 つまり、先生は原著者がうまく表現できないでいた不完全な文章を
 見事に添削されたのである。」(p.191-192)
とあり、原書を超える訳書を作ってしまう中井先生の偉大さを感じました。

本書には、テーマとは別で、
元木幸恵先生の
「初学者のスーパーヴィジョンにおけるスーパーヴァイザーの機能に関する一考察」
という論文も掲載されています。
初学者にとって最初にどのようなスーパーヴィジョンを受けるのかは、
その後のその方の心理職としての在り方に大きな影響を与えると個人的には思いますので、
そのことをスーパーヴァイザー自身も十分に自覚してスーパーヴィジョンを行うことが大切だと思いました。