トラウマを理解したい。
トラウマから回復する方法を知りたい。
トラウマに苦しむ当事者が読むことができる本を探している。

このような思いを持たれている方にご紹介する本はコチラ!

ジェニーナ・フィッシャー『サバイバーとセラピストのためのトラウマ変容ワークブック』岩崎学術出版社

本書の副題は『トラウマの生ける遺産を変容させる』となっています。
トラウマの影響は、数週間、数カ月、数年、数十年と長く続くことが多いことや、
日常の物事への強烈な身体的、知覚的、感情的反応として現れ、
過去の経験として認識されることがほとんどないことから、
トラウマの生ける遺産という表現になったようです。

本書には3つの意図があるとのことです。
①あなたを最も混乱させる、不可解で、恥をもたらすような症状を理解する助けになること。
②日常生活に影響を及ぼすトラウマ的体験の生ける遺産を認識する方法を提供し、回復を支援すること。
③新しい反応が習慣となるよう練習すること。

また、本書は、
「トラウマの記憶と向き合うための本ではありません。トラウマの影響、つまり身体的・感情的な反応、そしてトラウマが生み出す否定的信念から、あなたが回復するのを助けるためのものです。」(p.3)

本書を信頼できるセラピストと一緒に以下の順番でゆっくり読み進めていくことが大事かもしれません。
・トラウマの生ける遺産
・トラウマを受けた脳を理解する
・脳はどのように私たちの生存を助けているのか
・トラウマ後の対処における課題
・自己破壊的な対処パターンからの回復
・トラウマとアタッチメント
・トラウマに関連した断片化と解離
・癒しと解決
一通り読み終わる頃には、読む前とはかなり違う世界が広がっているのではないでしょうか。

本書の特徴は何より読みやすく、理解しやすいことです。
患者さん、クライエントさんでも読むことができるように書かれているので、
専門家向けのトラウマ関連の本を読んでもなかなか理解が進まなかったセラピストの方にとっても良いと思います。
よく理解できなかった部分がクリアになるのではないでしょうか。
私自身はとても勉強になりました。

個人的にはトラウマに関わる人々にとって名著になると思います。